連続超短編『二月めぐり』2

 何年も前の三月の始めに、テレビのニュース番組で波間を漂う猫の映像を見た。
 猫は生きていて、泳ぎもせずにただ浮いて漂っていた。
 それが何故ニュースで取り上げられたのか、どんな内容だったのか、何故猫をそのままにしておくのか、分からないことばかりだが、映像だけはしっかり記憶している。
 それを兎に話すと、感慨深そうにゆっくりと二度頷いた。