2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

連続超短編『二月めぐり』10

昨日降った雪を少し集めて、雪兎を作った。 そこへ兎が通りかかり、僕が雪兎を紹介するより早く、ものすごい勢いで雪兎をつかむと、まるでボーリングでもするようなフォームで雪兎を吹っ飛ばしてしまう。 一体どうしてまた、そんなことを。と、言おうと思う…

連続超短編『二月めぐり』9

兎の真似をして、誰にも会わずに本を読んで、あとは一日空でも眺めて過ごしてやろう。と、思い立つ。 でも、おなかが空いた時のために、マフィンを用意してみた。 マフィンだけをもそもそ食べるのも寂しいと思い、マフィンを食べる時にお茶が飲めるようにと…

連続超短編『二月めぐり』8

誰にも会わずに、本を読んで、あとは空ばかり見ていました。とは、兎の台詞。何を読んでいたのか訊ねると、コクトーです。と答える。

連続超短編『二月めぐり』7

僕の家に、ひとりで遊びに来た、隣の家の子猫が、あまりにも眠くてぐにゃぐにゃになっていたので、膝を貸してあげた。

連続超短編『二月めぐり』6

兎と会話をした。 「ねえ、太巻きは食べましたか?」 「そういえば、食べなかったよ」 「わたしもです」

連続超短編『二月めぐり』5

地下にある郵便局から兎に手紙を出そうと思う。けれど、地下にもぐる入り口が見つからない。

連続超短編『二月めぐり』4

鳩が嬉しそうだった。 箒を持った若者が、せっせと豆を掃き出しているからだろう。

連続超短編『二月めぐり』3

誰もが豆を撒こうと息巻いてる気がしてならない。 そんなはずはないのに。

連続超短編『二月めぐり』2

何年も前の三月の始めに、テレビのニュース番組で波間を漂う猫の映像を見た。 猫は生きていて、泳ぎもせずにただ浮いて漂っていた。 それが何故ニュースで取り上げられたのか、どんな内容だったのか、何故猫をそのままにしておくのか、分からないことばかり…