2010-01-01から1年間の記事一覧

文学フリマ参加のお知らせ

第十一回文学フリマ(http://bunfree.net/)に参加します。 サークル名『温泉卵と黙黙大根(おんせんたまごともくもくだいこん)』 スペースは「I-08」です。開催日 2010年12月5日(日) 開催時間 11:00開場〜17:00終了 開催時間1時間延長決定! 会場 大田…

超短編『神様のスープ』

騒ぐことを止めたら世界は静かでした。 平穏や平静や平坦や平均や平常や平和や、そんなもの。 どこまでもどこまでも開けた、なだらかで遠くまで見渡せる風景。 山も谷も滝も川も海も。巻き戻しのように、遠ざかって遠ざかってしまうので。 またいつかと懐か…

超短編『宝探し』

「ねえ、ママ。おじいちゃんのお葬式が終わったあとで、みんなでお食事をしたでしょう。あのお店に大きなソファがあってね、寄りかかるところと座るところの間にね、いろいろなものが挟まってたの。ライターとか、百円玉とか、つまようじとか」 居間のソファ…

超短編『ゆらりゆらら』

誰もしらない。誰もいない。ずっとゆれ、ゆらりゆらら。 波間をずっと、いつまでもどこまでも。 小瓶はあかない。どうしても。 ________________________________ お題は五十嵐彪太さんから拝借しました。 瓢箪堂のお題倉庫 http://hyotan50.blog.shinobi.jp…

超短編『ササヅカ記』

ササヅカが山のような苺を持って帰ってきた。 僕の胡乱そうな視線に気がついたのか「苺ジャムとかソースとか苺酒とかさ作ろうかと思って」などと言う。好きにしたらいい。そう思っていたのも束の間、部屋中に甘ったるい匂いが充満したのには辟易した。 空気…

超短編『来年咲く花』

来年咲く花を決めなければならないのに、どうにも決めかねて、目をつむって「じゃあ、君と君と君と、あと君」とやったら、うっかり花じゃないものまで指差してしまった。 だから、来年あなたの花壇にはいつの間にかあれが咲いてしまうのだけれど、あなたは気…

超短編『インターフォン』

オートロックもない古いマンションに住んでいます。 古いけれど造りはしっかりとしていて、近隣の音はあまり気になりませんし、住み込みの管理人さんがきちんとした方なので、おかしなセールスや勧誘などはほとんど訪れません。ゴミ出しの管理や共用部の掃除…

超短編『獄』

謂われなき罪状で投獄されたが、獄というにはお粗末で敷地から出られはしないが出ようとさえしなければ、どこに居ようが好きな時刻に好きなだけ昼寝をしていようが誰にも咎められない。 何を課せられることもなく、食事も豊富である。粗末というより豊かであ…