超短編『来年咲く花』
来年咲く花を決めなければならないのに、どうにも決めかねて、目をつむって「じゃあ、君と君と君と、あと君」とやったら、うっかり花じゃないものまで指差してしまった。
だから、来年あなたの花壇にはいつの間にかあれが咲いてしまうのだけれど、あなたは気持ちの大きなひとだから、きっと誰かのいたずらかそれとも僕の失敗と気がついて、あらまあと笑って許してくれるでしょう。
「ヒヤシンスとチューリップとムスカリと……あらまあ」
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お題は五十嵐彪太さんから拝借しました。