超短編『枯れ葉』

坂の途中で、枯れ葉が吹き溜まってくるくると回っているのを見た。
その中の、鳥のような印象的な形をした一枚が、何かの加減で私に向かって飛んできて、ゆっくり回転しながら頭の上に落ちてくる。
おや、と思って手を伸ばし、受け止めようと手のひらを翳す。
かさりと音がして、確かに枯れ葉を受け止めたはずだった。
手を下ろして見てみると、何もない。
落としてしまったのかと思って、周囲を見回しても、何もない。
頭の上にも、服の上にも、鞄の中にもなかった。
おかしなこともあるものだなと思いながら、その事は忘れてしまった。


翌朝、机の上にぽつんと、その枯れ葉が乗っている。
家人は誰も知らないと答え、枯れ葉はいまだに私の机の上にある。