超短編『ある日晴れの日』

冬の寒々と晴れ渡った青く高い空。春に近いせいか、風が強い日だった。
遠くから電車の走る音が聞こえた。
まるで醒めない夢を見ているみたいに、明るく、淡い影のできる日だった。
海辺にぽろぽろこぼれる誰かのため息を拾って歩いた。
ため息は全部小瓶につめて海へとぽんと投げてさよなら。