超短編『消灯』

 夜、寝るときは電気を消して真っ暗にしてから寝る。確かに小さな明かりをつけておけば夜中にトイレに行きたくなったり、水を飲みたくなった時には便利だ。でも、必ず消す。誰かが遊びに来て、泊まることになった時でも絶対に消す。
 少しでも明るいと寝付けないというのもあるが、なにより小さなオレンジ色の明かりをつけておくと、誰かが壁に影絵を作って遊ぶからだ。蟹、狐、犬、鳩、蛙。影を作る手の持ち主はどこにもいない。