超短編『その先へ』

あらゆる出来事のさなか一人で呟くだけの無力な時も
右を向き左を向き右往左往しながら
誰の目にも触れないささやかな誘惑を
いつも視界に捉えつつ
早朝に咲く夏の日の朝顔のように
つらい気持ちだとこぼす孤独な魔物のように
夕凪を佇んで眺めるように
川の流れでやり過ごし
それでも不安な方が安心できる矛盾を知りながら