超短編『亡友』

亡友が時折夢に出て来て、その時々に行動を共にする。
先日は、リニアモーターカーに乗り、二人で車窓を眺めながらずっと走っているうちに目が覚めた。
また別の日には、池の中で大繁殖した藻を掃除するのを手伝って欲しいと言うので、言われるままに池へ入って、必死に藻を片付けた。余程藻を片付けるのが嫌だったらしい。下唇を嫌という程噛み締めたまま目が覚めた。
また別な日には、二人で見知らぬデパートで買い物をする夢だった。食品売り場をぐるぐると歩き回るだけで、結局何も買わなかった。


今朝方、久しぶりに夢に現われたと思ったら、今度の正月には門松を立てようと言われ、二人で竹林を探して歩き回り、立派な竹を切って持ち帰ると、二人がかりで門松を作った。
門松など、生まれて初めて作った。飾るのも初めてだと言うと、亡友はからからと笑っていた。
その笑い顔を見ているうちに目が覚めて、顔を洗いながら門松を作る手順を覚えていることに驚く。