超短編『静寂』

静寂をぴんと引き結んで夜、待つ。
新年に向かって収束する一年分の時間と、これから来る一年分の時間を繋ぐ作業は本当に緊張を強いられる。
失敗は許されない。だから、静寂。緊張し、けれど弛緩しなければならない。
初めて海を見た人のように、来る波を恐れと興味を持って、両手を広げて、受け止めるような、受け流すような。
誰も知らない静寂を繋ぐ。
夜と夜の静寂を縫う。