超短編『遠吠え』

いつだったかの師走の晩に、あなたが吠えた。
吠えると、少し遠くから、同じように吠える声が。
その声は連鎖して、夜のしじまを遠く遠く、波紋のように広がっていく。
わたしが電気をぷつんと消したちょうどその時、最後のひとりが波紋の消えるように吠えて、そして。