超短編『シャッター』

 家の近所に、大きなガレージのある家がある。
 夜、その前を通った時、ガレージのシャッターが半分くらい開いているのが見えた。
 風のせいなのか、シャッターが、がしゃりと音を立てる。
 音につられて、そちらに目を向ける。
 ガレージの中は、空のようだ。
 半分開いたシャッターの下から、手が見えた。
 手は、シャッターの下端をつかんでいる。
 もし、人がいるとしたらどうやってそこに取り付いているのだろう。
 そのまま、足早に通り過ぎた。