超短編『水たまり』

 足の裏で、ぺとんという感触がした。
 何を踏んだのだろう。
 水たまりで靴の裏を洗う。
 足首を左右に揺らしていると、つーいと小さな雨蛙が足の下から泳ぎ出て、水たまりの真ん中あたりで見えなくなった。
 水たまりの真ん中に向かう小さな水の筋だけが残っていたが、水たまりの左右の岸に小さな波が届く頃にはすっかり消えてしまった。